「……っ」
《…‘ 手紙’って、まさか…あたしが書いた…手紙のこと…?

アレのことは、思い出したくないのに…っ

あの手紙は、比較的…、話しやすかった佐伯くんに漆原くんに渡してくれるように頼んだ…んだった…》


そのあとの…、琢磨の言葉に、実咲は打ちのめされたのだった…

出来れば…、忘れてしまいたい過去。。


「……っ」
《自分が、何を言ったのか?…も、忘れてしまっているんだよね?

この人。。


まぁ、もぅ…5年以上も前の…ことだし。

覚えているはずもないよね?


でも、あの言葉で…、あたし…、ダイエットもして…、目元も、顎のラインも治して…胸も豊胸したんだよね…?

成宮くんに一瞬でバレるとは思わなかったけど…っ》


思わず…、大きく…深いため息をついた…

その実咲の口元から漏れたため息…に、琢磨は実咲の身体を再びベッドの上に押し倒し…

「お前さ、いま…他の男のこと、考えてない?」

その、琢磨の言葉に、実咲の胸は心臓を鷲掴みにされたかのような衝撃を受けた…

「…え…?」


「この前から…、昨夜も…悠と楽しそうに話してたよな…?」

「……っ!」
《…あれは…っ

自分だって、瑞希さんと笑顔で話していたくせに…っ》

実咲は、すぐに琢磨から視線を逸らし…

「別に…、大した話しじゃ…」
《整形したの…、バレた…って…話せるワケないでしょー?》


「ふぅん。ま、いいんだけどさ…」

琢磨は、そう言いながらも…実咲の顎先を自分の方に向けさせ…、その唇を塞ぎ…貪るように口付けをした…

「…ん…っ! ちょ…っ!」

「俺といる時は、他の男のことなんて考えるなよ…」

唇をやっと解放し、そう言った琢磨…

「お前がアイツのこと、好きになっても…お前には、役目があるんだから…」

そぅ、笑顔を見せる…が、その瞳だけは、まるで獲物を狙う野生の狼のようだ。。と、実咲は瞬時に思った。。

「…‘好き‘’って…。…えっ?」
《っな、何を言っているんだろ?

…違うんだけど~…っ!

もしかして…

なんか…、勘違い…してる…っ?》


実咲は、精一杯の力を込め…、琢磨の両肩を掴み…、押しのけようとする…。。が、なかなか適わない…

「…ん…。…や…っ!
わ…、私が誰のことを好きだって、言うの?」


その、実咲の言葉に…、身体を離した琢磨…

「…そんなの…、悠のことに決まってるだろ…?」

「……え…っ?」
《一体…、ドコから…、そんなコトになるんだろ?


もしかして、あたしが…今まで付き合っていた女の人や、あのお義姉さんと同じような人だと思っているの?

て。。成宮くんと…って…
何年か振りに、再会して…
一昨日と、昨夜…会ったばかり…でしょ?

なぜ、そうなるの…っ?》

と、微かに…ため息混じりに…

「そんなワケ…ないでしょ?」
《なんか…、痴話喧嘩みたぃ…。。

そういうんじゃないのに…

なんで、私に関心がないくせに…成宮くんが関わると、こうなるの?


彼が…、誰を好きだろう…と、私には関係のないこと。。

コレも、一時の気の迷い…なのだから。。


お酒のせい…、うん、お酒のせい…なんだから…っ!

うん! きっと、そぅ…っ!》

琢磨から、視線を逸らし…顔をそむけた実咲…


「まぁ…、そのカラダにしっかり…と、俺の方がいい…って、解らせるから…」

と、身体を起こした琢磨は、実咲の髪を優しく撫で…バスルームに向かおうとしている…


優しく撫でる…その手に。。自分の思考よりも先に…、胸の高鳴りが抑えられない…

「……っ」
《何よ…、

こんな優しくしても…、好きになんて…ならないんだから…っ。。》



「風呂、入る?」

「あ、うん。。」

恥ずかしげもなく…、ハダカのまま…出歩いている琢磨…

彼から、視線を逸らすように…。。琢磨は、そのままバスルームに行き、浴槽のお湯をために行ったようだ。。実咲は、背を向け、シーツにくるまる…

「…。。」
《なんで…、あんな堂々と…っ

見てるこぅちが、恥ずかしぃ…よ…


それに。。
昨夜のこと…、思い出しちゃう…っ!》