実咲は、琢磨が用意した胸元が微妙~に開いたタイトのネイビーのワンピースを身につけ、ヘアメイクもサロンでやって貰っていたのであった…

ブランド物の、ネックレスにピアス…7cmも高さのあるヒール…。。それだけでも、相当な金額がするだろう…


実咲と琢磨は、会場までタクシーでたどり着いた。。その会場に着くなり、

「ねぇ、やっぱ…恥ずかしすぎるんだけど。。」

と、涙目で訴える実咲に、琢磨はその姿にほくそ笑みながら…

「そのワンピース、10万したから…汚すなよっ!」

「…じゅ…、10万っ! コレが~!」
《て。。

ヒールも、アクセサリーも…合わせたら。。一体、いくらよ?

て。。
サイズ、ピッタリ!なのは何故なのよ?

ちょっと…、胸元が気になるけど…》

予想以上の実咲の反応に…

「しっかり、妻役! 演じてくれよ。今日は、同じ事務所の上司や先輩と、ほかの業界人も多いから…」

不敵な笑みを浮かべる…。。そぅ言いながら…実咲に手を差し伸べてきた琢磨…

その笑みに、不覚にも…ドキ…っとした。。

「……」
《この手が、恋人としての…手なら、嬉しいんだけどな…》

と、思わず…思ってしまった…。。

実咲の手を…きゅ…っと、握りしめた琢磨は、実咲の耳元に…

「お前、飲みすぎるなよ…」

その、言葉に…返す言葉もない…


パーティ会場にたどり着くなり…、琢磨と実咲の方に歩いて来る30代くらいの男性…

「お! 漆原。そちらは?」

と、即座に琢磨の隣りにいる実咲に気がついた男性…

「葉山さん、今回はおめでとうございます。
妻の実咲です」

そぅ、自己紹介され…、実咲は笑顔を浮かべ…、頭を下げ…

「妻の実咲です。」

と、作り笑いを浮かべた…

「お~! そぅだ! 結婚したんだったな。お前狙いの顧客やパラリーガルやら…いたのに…。
奥さん、はじめまして。葉山です」

その言葉に、笑顔を浮かべた琢磨は…

「葉山さんほどじゃないですよ…」

そぅ、終始…笑顔で、対応する琢磨に…。。実咲は、今まで見たことも無い一面を垣間見たような気がした…

「じゃ、奥さんもくつろいでってね」

と、挨拶も早々…に、他の招待客のもとへと行く葉山…


そして。。

社交辞令…的な挨拶を何人かと交わし…

「漆原くん!」

と、少し小太りな中年のオジサンと、その後ろにいる20代前半くらいの女性…

「片岡さん、ご無沙汰してます」

そぅ、先程から笑顔を絶やさない琢磨…に、実咲も笑顔を作りながら、頭を下げる…

「妻の実咲です」

と、その男性に紹介をした琢磨…

「そうか、結婚したのか…。残念だな…娘の凪子の婿に…と、思っていたのに…」

そぅ、言った男性…。。その男性のすぐ後ろにいた女性が


「仕方ないですゎ。お父さま…」

と、ニッコリと笑顔を浮かべる…その女性…


その2人が、立ち去ったあと。。

「【婿】?」
《いま…、【婿】って…

ソレって、つまり…っ》

琢磨の顔を見上げ…、そぅ聞いた実咲…

「あー、あの人…クライアントなんだけど。
婿入りしろ!って、しつこかった~っ!
あんなタヌキ親父の言いなりになんてなる訳、ないだろ?」

と、悪態をついた琢磨…

「でも…、せっかくなら…あのお嬢さんと、結婚した方が…
綺麗だし…」
《背も高くて、スタイルも良くて…。。

私とは大分違うな…、》

そぅ、笑顔を作りながら言った実咲の言葉に、琢磨は冷ややかな瞳を向ける…

「お前、ソレって焼きもちか?」