「嘘、藍川が若生くんに連れていかれたんだけど」

「何、どーゆーこと?」

若生澄晴のいきなりの行動に戸惑いが隠せない周りの女子達。

それは私も同じだ。

「ちょっと。どこ行くの!」

「いいから来い」

手を振り払うことも出来ず若生澄晴について行くしかなく黙って歩いているとたどり着いたのは屋上。

「… 何よ、急に」

「… お前、いじめられてるだろ。クラスの女子に」

「は?」

何を言ってるのこと人。
まずクラスが一緒になった事も無いし喋ったことも無い。 私の名前だって知らないはず。

「違う?」

「関係ないでしょ」

「否定しないんだ」

「は? 何なの急に屋上に連れて来て、」

「だってお前泣いてたじゃん。 しかも1度じゃない。何度も」

「…… 見てたの?」

「うん」

「…、で、何が言いたいの」

「俺がお前を守るよ」

「……」

どうゆう事?

「なんであなたが私を?」

「苦しいんだろ? 」

「あなたに何ができるの?」

「無理する必要なんてない。泣きたい時は泣けばいいし相談する人がいないなら俺が聞いてやるよ」

「どうして」

「だってお前だいぶ辛そうだから。悔しいって言ってたじゃん。」

「でも私、あなたに守られるような立場じゃないでしょ」

「立場なんて関係ねーじゃん。 」

「……」

この人はなんでこんな私を守ろうと思うんだろう。
新手の告白か何かかと思ったけど、私を見つめる目から下心や好意は見えない。

「俺とお前が付き合ってる事にすればいい」

「は?」

「だって敵は女子だろ? 俺が近くに居れば攻撃して来ないだろ」

「…余計 妬まれる気がするんだけど」

「だから俺がその時は守るから」

「… …本当に?」

「うん。」