「え、てか若生くんうちのクラスの方来てない?」

「え、マジじゃん」

「誰かに用事?」

廊下の方に目を向ければそこに居るのは若生澄晴。
私をいじめている女子達は若生澄晴に夢中で目を輝かせている。

そんな女子達を見向きもせず、誰かを探すように教室の中を見渡す若生澄晴。
一瞬目が合い急いで下を向く。

また " 色目使ってる " なんて言われたら大迷惑だ。

「ねぇ、」

目の前から聞こえた声。

「……はい?」

「ちょっと来てくんない?」

目の前にいるのはさっきまで廊下に居た若生澄晴。
喋ったこともない彼が何故ここに。
後ろを確かめるけど人は居ない。

「お前。 来て」

戸惑う私の手首と強引に掴み教室をあとにする。

何が起きてるの?