先生は椅子から立ち上がり、

私のことを抱きしめ涙を手で拭ってくれる。

その先生の手が、綺麗に骨ばった手が

暖かくて、離したくないって想いが

強くなる。

だけど、言わないと…

言わないと…もし、バレたら先生の責任に

なっちゃう。

「え…佳奈…?」

私はゆっくりと涙が出て震える手で

先生の暖かい、愛しい手を離す。

「先生…」

「佳奈…凌久って呼んでよ…
なんで手を離すの…ねぇなんで?」