連れ出そう、そうしよう。
「七瀬くん!神谷くんと会えたらもう帰ろう!」
カラフルな頭の人達をかき分け七瀬くんの腕を掴む。
「お、女!」
「マジか、女!」
女女うるさいこの方達を無視して早足で歩き出す。
「ごめん、走ろう」
と言った七瀬くんが一気に走り出し、私もそのあとについていく。
しばらく走って誠学から離れたところで
「こ、こまでくれば大丈夫だね…」
息を整えながら七瀬くん見れば、彼はふぅと一息ついただけで普通の様子だ。
案外足速くてびっくりだよ…。体力もあるのね…。
私は疲れたよ。足が痛いよ。
「走らせちゃってごめんね。
でも助かった。ありがとう」
「ううん、囲まれてたからびっくりしたよ」
「本当に…」
とげんなりした顔をする彼を見て、七瀬くんは苦労性なのかもしれないと少し同情する。