「まあまあ、せっかくだしさ!」
ニカッと笑う赤髪の彼。
せっかくってなんだ!
黒髪はそこら中に山ほどいるんだぞ!
「よーし!撮るぞ!」
カメラの準備が終わったらしい彼が片手にスマホを持ち、もう片方の手で私の肩をぐっと掴み自分の方へ引き寄せる。
うおっ!?
突然のことに体がよろけ赤髪の彼の元へ盛大なダイブを決めてしまった。
「おおっ、悪い悪い。力強すぎたな!」
よろけた私をしっかりと受け止めてくれた彼は謝りながら私をゆっくりと立たせてくれる。
…優しいか!
「す、みません!!」
そしてそのまま手を離していただきたい…!
「気にすんな!さ、撮るぞー!」
と、彼がシャッターボタンを押す寸前、聞こえたのはガシャッではなく『バコン!!』という音だった。
なんだ!?
「何やってんだよ、アホ」
しゃがみこむ赤髪の彼の頭をもう一度バコン!!と丸めた教科書で叩くのは金髪の人。