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「ん?律くんから電話だ」


家に帰り、泣くのを我慢していたせいで赤くなってしまった目を隠すように
私はすぐにシャワーを浴びた。
部屋に戻り髪を拭きながら、律くんからの電話に出た。


「律くん? 電話なんて珍しいね、
どうしたの?」

「いや、ちょっとなほに助言しておこうかなと思って。

なほはさ、今日の蒼の発言聞いて自分も告白しようとか思ったりした?」


そんないつもは安心する律くんの声に、
今日は胸が締め付けられそうになる。


「しないよ。蒼ちゃんの邪魔したくない」


「ほんとにそう思ってる?」


「だって!私が告白したところで上手くいくわけじゃないんだよ?

私は蒼ちゃんが幸せになってくれればいい。

私が告白して、蒼ちゃんを困らせて幼なじみでいられなくなるなら
このまま告白なんてしない方がいいの。」




「なほ。俺は、蒼とりほだけが幸せになってほしいわけじゃないんだよ。

ずっと密かに蒼のこと想い続けてたなほにも
ちゃんと幸せになってほしい。

だから、ちゃんと想いを伝えて。

俺は、蒼にも
そんな両想いの幸せの影には、
幸せを願ってくれている人がいるってわかってほしいんだよ。」



律くんの言葉がすぅーと私の心に響く。