ドアノブが回る。


「お前ら、早……っ!」


 パンパーン!! と大きな破裂音が部屋中に響く。

 俊太は僅かに目を見開いたまま固まった。


「二十歳の誕生日おめでとう! 俊太」

「おめでとー。俊太の驚いた顔、久しぶりに見たかも」

「……あ、お、おう。なんか、悪いな……」


 そう言って、俊太は少し不自然な動きになって、そろそろと中へ入ってきた。

 なんとも居心地の悪そうな表情だ。

 彼は今、猛烈に照れている。


「はい、プレゼント! 私と佳くんで選んだんだよ。三人お揃い!」


 駄目だ。顔がニヤけてしまう。


「ほら俊太、開けてごらんよ」


 佳くんは自然な微笑みを顔に貼り付けている。さすが役者だ。


「お、おお、サンキュー」


 まだ少し困惑気味の俊太が、ゆっくりと包みを開けていく。

 そして、


「おい、何だよこれ」


 普段の俊太に戻った。


「ほらほら、私たちも~」


 そう言うと、小さな食器棚から例のカップを二つ取り出して見せた。

 私のは淡いピンク、佳くんのは淡いグリーン、そして俊太のは淡いブルーだ。


「わぁ~、仲良し♪」


 佳くんが拍手をしながら俊太に笑いかけた。

 俊太が笑い返しながら震えているように見えるのは、きっと気のせいだ。

 絶対に気のせいだ。


「はい、じゃあ、お弁当食べよう! 私、唐揚げ持ってきたから皆で食べよう。俊太、それにジュース入れようね! 二十歳だけど自転車乗るからジュースね。あ! ケーキケーキ!」


 彼に有無を言わせず、バースデーパーティーは始まったのだった。