◇◆◇

 本当は進みたい道があった。

 私は特別おとなしい性格ではなかったけれど、自分の気持ちを口に出して伝えることがあまり得意ではなかった。

 親に言われるがままに進路を決め、毎日が味気なく、まるで全てを諦めたかのように、ただ何となく日々を過ごしていた。


 ――あの日、あなたと出逢うまでは。


 ◇◆◇