「すごく嘘つき」
「確証もないのに嘘つき扱いしたらダメだよ」
まるで小さな子供に優しく注意するような言い方。
なんだか私が悪いのかなって、勘違いしそうになる。
「……嘘を言う神田くんが悪いの」
「そうやって決めつけない」
ぽんと、優しく頭に手を置かれる。
その優しい手つきが本当にずるい。
「……ノート、写さないと」
このままだと彼のペースにはまってしまう。
それを察した私は、話を変えることにした。
もともとノートを見せてあげるのが目的だったし、だいぶ話が逸れて時間を割いてしまった。
「……そうだね。
本当にごめんね、迷惑かけて」
少し間を空けて、彼が口を開く。
話を変える作戦が成功したようだ。
「迷惑なんて、そんなこと……」
「だからノートだけ借りてもいいかな?」
「え…」
私にしてみれば、衝撃的な言葉。
ノートだけ借りてもいいってことは、私は帰らないといけないの?