「タラシだよ白野さんは。
今のでどれだけ危ないかって、全部わかった」
「へ……」
「俺の前で以外は、他の男と話すの禁止ね。
俺の前でも他の男とは話してほしくないけど」
「禁止…」
男の人と話すのは禁止と言われたけれど、私は男の人とは うまく話すことができないし基本的には話さない。
お兄ちゃんやお父さん、神田くんに学校の先生くらいだ。
だからこそ、涼雅くんと話せたことは珍しい。
「確かにこんな鈍感バカだと危ないな。
簡単に食われちまう」
「く、食われ…!?」
まただ。
また“食べられる”と似たようなニュアンスのことを言われてしまった。
食べられるという意味が何なのか、未だにわかっていないのだけれど。
「よくこんなんで狙われず、生きてこられたな」
「狙われるって…?」
涼雅くんが理解の難しい言葉を使うから、思わず聞き返してしまう。
「男に狙われたこと、ないのか?」
「そ、そんなこと…男の人と関わらないから……」
中学の時も、男の人とほとんど話した記憶はない。