「……え」
「怖がらせただろ?普通にあれだ、総長である佐久間のことを総長じゃないだの何だの否定してたからつい、きつく当たっちまった。俺たちの中では尊敬する総長だから余計に」
この人は神田くんを尊敬している。
副総長として、総長である神田くんのことを近くで見てきたのだろう。
それなのに私が総長だなんて嘘だと言ったから、腹を立てて当然だ。
総長を否定したように聞こえてしまったのかもしれない。
「あ、えっと…私も誤解させるような言い方してごめんなさい」
そうなれば、悪いのは私のほうだ。
彼が謝る必要はない。
神田くんの言う通り、涼雅さんはいい人。
きっとここにいる人たちみんなもいい人なのだろう。
「……なんでお前が謝るわけ?」
「え…だって、私も悪い、から…」
「変なやつだな」
「へ、変……じゃ、ないです」
今度は変な人扱いされてしまう始末。
いい人なのかもしれないけれど、それ以上にひどい人。