──ドラマチックとかロマンチックなんて形容できる出来事は、私の日常には転がっていない。

今朝のニュースで「今夜はなんたら流星群が関東全域で観測できるでしょう」なんて、ずいぶんロマンチックなことを言っていた。

だけど、私が住んでるアパートの目の前は駅の駐輪場。

部屋の窓を開けたって、見えるのは流星群じゃなくて自転車の群れだけだ。

だから私は今夜も、窓どころかカーテンすら開けてない。

なんなら今この瞬間、星が降ってるかもしれないのにこたつに入って、バイト先でお土産にもらった餃子をおかずに、晩ごはんの最中だ。

ニラがかなり多く入ってるらしく、とっても美味しいけど、口の中すごいニラ臭い。

私の日常なんて、やっぱりロマンチックの欠片もないな。

それにしても、今日はやけに寒い。

星なんかより、いっそ雪が降るんじゃないかってくらい寒い。

流星群が見えるくらいだから、空は晴れてるんだろうけど。

暖房付けてるのに部屋の中がとても寒いから、食事が終わってもそのままこたつから動けずに、しばらくの間、ぼんやりとテレビを観ていた。

すると、おなかが満たされたせいなのか、体がじわじわと温まってきたせいなのか、急激な眠気に襲われた。

うとうとと船を漕いでは、はっと気がついて垂れかけたよだれを啜る。

その度に、ベッドに行かなきゃとか暖房消さなきゃとか考えるけど、考えてる最中でまたうとうとする。

そんなことを何回もを繰り返している内に、私の意識は眠りの中に溶けていった。