扉は鍵がかかっていて開かない。

スマホは教室だし。

体育館の倉庫なら人が来るからいいのだけど、あいにく外の体育倉庫だしな。

特別な用がなければ来ないよね。

あーあ。

ホント、あいつのせいで変な喧嘩買っちゃったな。

こんな時、少女マンガみたいにカッコいい人が助けてくれれば面白いのにな。

なんて馬鹿げたことまで考え初めてしまった。

さーてと。

この時間何してようかな。

辺りを見た。

ほこりのかぶった跳び箱。

年季の入ったマットやボール。

どれも忘れ去られたものばかりだった。

こんな状況にも関わらず、体育器具たちが可哀想に思えてきて掃除したくなった。

もとは私たちの先輩が使ってきたものなんだもん。

感謝しなきゃいけないな。

鉄格子が付いた窓を開け、せっせと掃除し始めた。

ほうきや雑巾、ちりとりにゴミ箱などありとあらゆる掃除道具が置いてあった。

まるで誰かが掃除してるみたい。