そういえば、彼も後天的に声が出せなくなったのだと言っていた。
 とある理由があって、急に、と。
 どこか似ている彼に甘やかされて、安心感を得ていたけれど――あまり褒められたものではないな、私。
 でも、それを善しとしてくれている空気が今はあるから、まだしばらくは。なんて考えてしまう私は、やっぱりまだ、用意された空間に甘えているのだ。

 もう少し、しっかりしないといけないのに。
 いずれは彼だって、私の傍から――

 何だろう。
 それは、少し悲しい。
 悲しいし、寂しい。