「てか手熱くね!?熱!?」
そう言いながら、高橋先輩の手があたしのおでこに触れる。
――熱いのは高橋先輩のせいだよ…
余計熱くなるあたし。
「や。なんかここ暑くて!」
とっさに苦し紛れの嘘をつく。
「そぉか?俺寒い。」
笑いながら、高橋先輩はあたしのセーターの袖から手を入れた。
――死んじゃう死んじゃう!!うち手汗やばくないかな?
そんなことを考えながらも、冷えきった高橋先輩の手に触れた。
「あたし冬でもあったかいから、ストーブなんですよ。」
「ストーブとか超うけるわ!じゃああっためて♪」

その時。
高橋先輩の携帯が震えた。
高橋先輩が手を離す。
――もうちょっとあのままがよかったかも…
「ねぇ…斎藤達が"今どこいる?"だって。」
「え。どっちの斎藤?」
「メールは1年の斎藤だけど、たぶん2人一緒だろ。」
斎藤っていうのは美里の名字。
美里は2年生の斎藤先輩と付き合っている。
「W斎藤…?」
2人で笑いながら、メールをうった。
「"今マックでーす"っと。来る気かな…?」
「かもしんないですね…W斎藤ならやりそう。」
美里なら間違いなく来る。

ちょっとしたら、駅の方から歩いてくるW斎藤が見えた。