その日から、あたしは高橋先輩の"後輩"から"特別"になった。


10月23日。
中1の秋。
初めての年上。


メールでお互いの呼び名を決めて、次の日から一緒に帰る約束をした。
ちゃんとした"彼氏"は初めてで、そういう話はなんかこそばゆかった。


次の日の放課後。

[ゴメン!掃除だからどっかで待ってて?]
高橋先輩からメールが来た。
[了解。食堂にいるね。]
美里と優美には一緒に帰るって言ってあったし、一緒に食堂にいた。
「麗美どーすんの?」
優美がにやけながらこっちを見てる。
「掃除終わったら連絡くるよ。」
3人以外に、何も知らない同級生もいた。
それだけじゃなくて、食堂にはバスケ部の先輩も、知らない生徒もたくさんいた。

そわそわしながら待っていると、携帯が震えた。
[終わった!]
昨日のメールでは、先輩はみんなにはまだばれたくないって言ってた。
――なのに食堂来てもらっていいのかな…
あたしはそのこともあって、待ち合わせは校門だと思ってた。
いろいろ考えてたら、窓の外に高橋先輩が見えた。
「麗美!高橋先輩!」
「うん。でも、昨日はばれたくないって言ってたんだけど…どうしよ…」
「じゃああたし行ってきてあげる!」
そう言うと美里は、窓の外の高橋先輩に向かって走り出した。
美里と高橋先輩は、ちょっと話して美里だけ走って帰ってきた。