制服は冬服から夏服に変わり、だんだん夏が近付いていた。
学校が終わってからが暇な日は、拓の部屋に行った。
空いてる時間は仕事に費やした。
今日も、いつも通り拓の部屋に向かっていた。

「おう」
服を着ていない拓が、眩しそうにドアを開けた。
あたしはすぐに部屋に入った。
「先着替えちゃいな」
そう言って、拓は服を渡してくれた。
あたしが制服で来た日は、拓が自分の服を貸してくれる。
けっこう大きいけど、着ると拓の匂いがするから、あたしは大好きだった。
着替え終わったあたしは、部屋の隅っこに座った。
「今日この車な」
拓が携帯を差し出した。
「わかった。もう出ていいの?」
「んー…もうちょい待ちな」
相手と連絡をとってるのは拓だから、あたしは拓に全部従った。
それから5分したかしないぐらいに、拓が言った。
「着いたらしいから行きな」