「ねーしようよ」
「んー…」
男が触ってきた。
「触るならして」
あたしは男の手を押さえた。
「わかったよ。ちょっと待って」
男はやっと折れた。
あたしは、すぐに拓にメールを打った。
[もらったよ]
本当はまだ貰ってないけど、後で貰えるはず。
とりあえず、拓に見放されたくなかった。
成功すれば、拓は離れないよね?

男は必死だった。
自分の快楽のためだけに。

いつも通り、あたしは家の近くまで送ってもらった。
家に帰ると、リビングに紙袋が置いてあった。
茶色い紙袋には、汚い字で"れみへ"の文字。
中を開けると、手紙が入っていた。
表には"記念日プレゼント〜"。
裏には"Dearれみfromしんご"。
心臓がはちきれそうになった。
あたしは手紙を持って、そのまま部屋に駆け込んだ。

"おす!!
青森のおみやげまだ渡せてなかったから腰痛いのにわざわざはるばる渡しに来てやったぞ!
ありがたく思え!(笑)
あんま会えなくてゴメンネ??まぁ元気だせ〜
ということで明日も病院だからおいたましますね〜!!"

手紙を持つ手が震えた。
今日は、慎吾との4ヶ月記念だった。
あたしはすっかり忘れていた。


普通に帰って来ていたら、慎吾に会えた?


慎吾が来てくれていた時に、あたしは別の男といた。
あたしは、声を出して泣いた。
慎吾がここまでしてくれたのは正直意外で、自分に腹が立った。
自分が許せなくて、情けなかった。