拓が立ち上がって、こっちに来た。
「服その辺おいときな。タオル貸して」
そう言いながら、拓はあたしが使ったタオルを受け取ると、物干しのハンガーにかけた。
あたしはただ立ちすくしていた。
拓は布団に戻ると、煙草に火をつけた。
「こっち来いよ」
あたしは、言われたままに従った。
拓が布団をめくってくれて、自分の隣を空けてくれた。
あたしが布団に入ると、あたしに布団をかけて、左腕を貸してくれた。
あたしは、差し出された左腕に頭を置いた。
すごくドキドキして、こんな感覚久々だった。
拓は右手で煙草を吸っていて、顔は斜め下から見ることができた。
――ほんとに綺麗な顔…

さっき法律を説明された時、目を見れなかった。
かっこよすぎて、にやけそうになるのを必死に抑えていたからだった。
高い鼻。
細いのに、筋肉がついている腕。
色白でも色黒でもない、綺麗な肌。
鼻と、唇のすぐ下につけられたピアス。
少し茶色がかかった、長めの髪。
吸い込まれそうな、大きな瞳。
すっきりした輪郭。


一目惚れだった。