添付されている写メには、いかにも夜職っぽいスーツを着た、いかついけどかっこいい人が写っていた。
――どうしよ…かっこいい。
[一応遠慮しときます]
とりあえず、あたしはそのメールに返信した。
そのメールのことは、男には言わなかった。
まだ言っちゃいけない気がした。

あたしは電話を切った。
ごはんだと、嘘をついて。
[なんで!?てか番号教えて]
またメールが来た。
[090********です]
すぐに返事をして、あたしは携帯を閉じた。
慣れないことが多すぎて、少し疲れていた。
すると、一息つく暇もなく電話がかかってきた。
知らない番号だった。

「…もしもし」
「なんで遠慮なの?」
あの男だ。
「実は、今もうすでに組んでるんですよ」
「今日やってきたべ?正直に言ってみ」
「あー…まあ…」
「その金今持ってんの?」
「あります」
喋り慣れているような話し方。
こんなあたしでも、少しは怖かった。
でも逆に、そういう経験が豊富そうなところに惹かれて、手を組むことにした。

「今の人どうすればいいんですか?」
「そんなのシカトだよ」
――いいんかいな。
少し不安だけど、信じてみることにした。
「てか名前なに?」
「あ。鮎原麗美です」
「後で漢字送って」
「わかりましたあ。なんて呼べばいいんですか?」
「えーっと…タクでいいよ」
「漢字は?」
「拓だよ」
――や。わかんないし…ま、いっか。
「てかお前、会話的に調子に乗りやすいから気をつけなよ」
「…すいません」
さっきの会話で、調子に乗ってたらしい。
たしかに、拓にうざいとも言われた。
その時は拓に腹が立ったけど、逆らわない方がいいと思った。

その後のメールで、次の日会う約束をした。


あたしは、この誘いを断るべきだったんだ。
会うべきじゃなかった。