あんな短時間で3万円も手に入った。
――ほんとにいいのかな…
なんだか、男に悪い気がしてきた。
でも、なんで慎吾に対する罪悪感はないんだろう。
それが不思議だった。
罪悪感が全くないわけではない。
だけど、思い詰めるほどすごいわけでもない。
大金を持っている自分が不思議で、少し怖い。
それだけだった。

携帯の電源を入れると、手を組んでいる男から数件のメールが来ていた。

[終わった!?]
[どうしたの?]
[大丈夫?]

返事を打とうとしていると、その男から着信が入った。
「もしもし、どうしたの!?」
「ごめん。電池無くなって電源切れてた」
「連絡つかないから心配したわあ」
男は、安心したように言った。
「んで…大丈夫だった?」
「大丈夫だよ」
「金、いつ取りに行くかなー」
「別にいつでも」
「とりあえず、またサイトに書き込んで!」
あたしは、電話を繋いだままサイトに書き込んだ。
すぐに、メールがたくさん届いた。
「めっちゃ人いるよ」
あたしは1人1人の特徴を話ながら、必要ならその人の写メを送った。
サイトに書き込む時、写メを送るのを条件にしていたから、写メはだいたい添付されていた。
「こいつはだめ」

いい悪いは、あっちが判断してくれる。
あたしは、男と会っている時に来ていたメールも整理しながら、人数を絞っていた。
そんな時、ある1通のメールを見つけた。

[俺と手組まない!?とりまメールして☆]