慎吾が歌い出す。
――えっ!?うまっ!
思わず慎吾を二度見してしまった。
このうまさは反則。
オトされた。
特に、Gacktの声にはすごく似てた。
まるで本物だった。
慎吾が歌い終わった。
「やっばいね!超うまい♪感動したもん」
思わず声が大きくなる。
「そんなじゃないよ」
そう言いながらも、照れ笑いする慎吾がかわいかった。
あたしが歌う時は緊張したけど、人並みには歌えた。
しばらくして、慎吾が切り出した。
「んじゃあ…口でしよっか」
メールでも話してたこと。
あたしは気が進まないけど、慎吾が喜ぶならしょうがない。


いつの間にか、あたしは慎吾のいいようにする癖がついていた。
あたしは慎吾の奴隷じゃないのに…
ちゃんと人間なのに。