次の日。
部活帰りの高橋先輩が、あたしの家に来た。
当然最寄り駅に迎えに行く。
「高橋先輩!」
先輩もあたしに気付いてくれた。
改札から出てきた先輩と、手を繋ながら家に向かった。

「てかさ、いつまで"高橋先輩"?敬語はなくなってきたのに」
「だってなんか呼べないし!」
呼び捨てなんて、まだなんかできなかった。
「言わなかったらお仕置きな」
「えー…それはやだ」

あたしの家は、駅から5分ちょっとぐらい。
田舎にある、ごく普通の家。
家には誰もいなくて、ミニチュアダックスの犬だけが吠えていた。

「おじゃましまーす…」
高橋先輩が珍しく緊張してる。
「誰もいないから、緊張しないでいいよ」
あたしは鍵を閉めながら、先輩に笑いかけた。
「家でかくね?」
「そう見えるだけだよ」
あたしの家は、普通とは違って2階がリビングとか台所、1階は親の寝室になっている。
あたしの部屋は2階。
あたしが階段を上って行って、後ろから先輩がついてきた。
部屋に着いて、ドアを閉める。

――やば。沈黙…