少ししてから、W斎藤が登ってきた。
「あれ?席いっぱいじゃん。」
「相席いーですかぁ?」
斎藤先輩と美里は、笑いながらよそよそしく話しかけてくる。
「お断りしまーす♪つか席空いてんじゃねぇかよ。」
高橋先輩がすかさずつっこんだ。
そしたら美里も、負けじと言い返す。
「あたしここがいいんだもん。」
「てかもう座ってるし!」
そのやりとりを、あたしと斎藤先輩は笑いながら見ていた。

「おぅ。たかっち♪」
斎藤先輩も、美里に続いてテーブルについた。
斎藤先輩が、意味深に笑いながら高橋先輩を見る。
「なんだよっ!」
高橋先輩は、照れたように笑って斎藤先輩をこづいていた。

その後は4人で楽しく喋れて、最初に高橋先輩と気まずかったのが嘘みたいだった。

「じゃあ俺らそろそろ行く?」
そう言いながら、斎藤先輩が立ち上がった。
「そだね。じゃあ…麗美!頑張ってね☆」
「何をだよー。じゃねっ。」
「じゃあたかっちもがんばっ!」
「じゃなー。」

嵐みたいな2人が去った後、高橋先輩が机に顔をうずめた。
「あー…疲れたっ!」
あたしは笑いながら、高橋先輩の髪をなでた。
こうしてるとなんだかかわいくて、2個も上の先輩とは思えなくてむしろ年下みたいだった。

いきなり高橋先輩の手が、あたしの左手をつかんだ。
そのまま手をつないだ。
――時間が止まればいいのに…
高橋先輩が顔を上げたから、今度はあたしが顔をふせた。
ふせたまま右を向く。
高橋先輩があたしの頬をなでた。
恥ずかしくてドキドキするけど、なんか優しい気持ちになれた。

柔らかいものが、あたしのおでこ、頬、唇に、順番に触れた。
――…えっ?