拓海が部活へ行くのを見送ってから、私は実行委員の集まりの場である理科室へと向かった。


あんな状態で決まった手前、ちょっと乗り気じゃないのは仕方ない。


でも、拓海が頑張れって言ってくれたから。

それだけで、ちょっとくらい頑張ってみようかななんて思えてしまう私はよっぽど単純かもしれない。



理科室に入ると、もう何人かの生徒は席に座っていた。どうやら自由席らしい。



「あれ、遠山さん?」


どこに座ろうかキョロキョロしているところで、近くに座っていた誰かが声をかけられた。


一瞬誰だかわからなかったけれど、1拍おいてから理解する。


懐かしい声だ。

いつも求めていた、優しい声。