「ぼけっとしてた杏が悪いんだろ?なに考え事してたんだよ」
「そ、それは……っ。えっと、内緒!」
「はぁ?」
お茶らけて誤魔化す私に拓海は顔をしかめるけれど、本当のことなんて言えるわけがない。
……拓海のことを考えてたなんて、口が裂けても内緒だ。
「ま、杏が実行委員になったんなら俺も手伝うし。とにかくまず初日、頑張ってこいよ」
「うん、ありがとう」
なんだかんだ、そう言って私の頭を撫でてくれた拓海に、私もこくんとうなずく。
ドキドキするけれど、やっぱりそれよりも拓海といると安心してしまうことに居心地の良さを覚えていた。