どんどん欲張りになっている。
むしろ、1学期に一度も席替えしなかったことの方が珍しいくらいなのに。
担任に促されるままにくじを引いて、新しい席を確認する。
「杏、どこだった?」
「廊下側の一番前。拓海は?」
「俺は窓側の一番後ろ……って、うわ。真逆かよ」
2人で引いたくじに書かれた番号を確認すると、それは見事に真反対の位置。
ここまで真逆になるのは、逆に凄い。
「さみしくなるね」
「だな」
思わずポロリと出た言葉に、同じ気持ちでいてくれたらしい拓海が答えてくれる。
そっか。しばらく拓海の背中は眺められないんだ。