待って、なんでいるの?
もしかしてずっといた?部活は?
聞かなきゃいけないことがたくさんあるはずなのに、その顔を見た瞬間私から真っ先に出たのは……涙。
「……よく頑張ったな、杏」
急にタガが外れたようにポロポロと泣き出す私に、拓海は呆れることなく歩み寄ってきてくれた。
開きっぱなしの扉を閉めて、頭を撫でられる。
力まで抜けてその場に座り込む私を、同じくしゃがみこんでくれた拓海は昨日のように優しく包み込んでくれた。
「……〜っ、たくみ」
「うん?」
「たく……っ、み」
「うん」
心地よいリズムが、私の背中を叩く。
わけもなくただ拓海の名前を呼びながら、私は昨日にも増してたくさん泣いた。