待ち合わせたのは、1階にある空き教室。


今日も変わらず部活があるはずなのに、私のわがままに優希くんはこうして時間をあけてくれた。


だからせめて、すぐに部活に行けるように指定したその場所。

窓からはグラウンドがすぐ目の前だから。



ドクン、ドクン。


その場所に近づくにつれ、心臓の音がどんどん加速する。


何度も何度も深呼吸したけれど、その動悸はおさまることを知らない。



教室の目の前まで来て、私は立ち止まった。


もう一度、大きく深呼吸。

胸に手を当てて、一生懸命「大丈夫」と言い聞かせる。


そして。


────ガラッ。