「珍しいな、お前が口出してくるの」
最初に口を開いたのは、拓海。
少し挑発的な口調な気がするのはきっと、昨日の私と優希くんの出来事を知っているから。
「遠山さん」
「……っ」
拓海の言葉に特に返事をしなかった優希くんは、その優しい声で私の名前を呼ぶ。
思わず肩がビクッと震えてしまって、それを誤魔化すかのように振り返った。
「お、おはよう、優希くん……」
昨日ぶりなはずなのに、随分と久し振りに顔を見た気がする。
一瞬だけ目を合わせてすぐに視線を外そうと思ったのに、合った目は真っ直ぐに私を捉えていて、思わずその目をそらせなかった。