拓海といると、1人でいるとき以上に落ち着けるから不思議。

どの友達よりも、ダントツで拓海が一番。



「ヒューヒュ〜。朝からイチャついてんなよそこのカップル!」


……けど、いくら信頼できるからと言って朝のこの場で拓海の目をまっすぐ見たのは間違いだった。


通り過ぎていく生徒……主に男子が、私たちをからかってヤジを飛ばす。

女子からは痛い視線を向けられて、それが嫉妬からくるものなのはすぐにわかった。



「ったく……懲りねぇなお前ら。違うっつってんだろ」


そんな彼らに拓海は呆れ顔でそう返す。もう私と同じでいろんな人に言われてきてるんだろう。


「そっ、そうだよ!やめてこんなのと恋人にするなんて」

「……おーい杏ちゃーん?こんなの扱いはやめようか?」


そして便乗してさらに否定した私に対して拓海はジト目で突っ込むものだから、周りは「よっ、ご両人!」「もっとやれー」と笑って、またはやし立てた。