「堂々とサボりとは、なかなか図太いな」

白衣の先生は、私の側に屈み込み、ニヤリと意地悪く笑った。

生活指導の橘智之先生。特に接点はないけど、転校初日に学校案内をしてくれたので覚えている。

「驚きすぎて声も出ないか。面白いな」

先生は私がいるのなんて御構い無しに、胸ポケットからタバコを取り出し、火をつけた。

「タバコ…」
「あ?サボりのヤツが指摘するか?お前も同罪だろ」

またもやニヤリとする先生に、私は息を吐き、再び寝転がった。

空を見上げながら、疑問を口にする。

「生徒を指導しなくていいんですか?」

見つかってから全く叱られる気配がない。増してや共犯者にされる始末だ。

「指導してほしいのか?」
「いえ、いらないです」
「いらないってお前…」

呆れた声音で先生は呟き、ふうと大きく息を吐く。