アップテンポな、俺たちのオリジナルの曲を歌い終わって、俺は『A‐Dreams』として、挨拶を始めた。
観客席からは、拍手と、女の子の歓声が聞こえる。一曲目を歌いきった事も相まって、ずっと硬直していた俺の緊張感も少しほぐれることが出来たようで。
観客席を見据えて、いつものようにようやく笑うことができた。
「こんばんは!エイドリですっ。
今日は、この場所に立つことができて、すごい感動してます!
俺たちのこと知ってる人も知らない人も、楽しんでください」
エイドリ――あまりちゃらちゃらしていない、今時の高校生バンド。俺の愛嬌の良さや、質の高い演奏が、それなりに評価され始めている、ところだ。