保の指先からつむぎ出されるギターは、すごく切れが合って、ぐいぐいと俺の歌をひっぱていくような、そんな強い力がある。


 その音色に導かれるように、歌うのはとても楽で、そして気持ちいい。

 俺が合流するだいぶ前から、ずっと保とタッグを組んでいた、明弘のドラムは、何の問題もなく保のメロディに飛び込み、彩る。


 観客席が溢れてくるライトの光で、まぶしくて見えないのは、今の俺にとっては救いだった。



 俺の口から自分でも意識できているのか、出来ていないのかさえわからないほど、スムーズに一曲目の歌詞が飛び出していく。

 
 来るはずの明日に怯えているようでいて、今日を振り切れていないような。そんな今の俺たちのような歌を、歌う。

 
 “―――いつかは、先が見えたのなら。”