俺たちの前のグループの演奏が、終わったようだった。

 聞こえてくるのは、女の子達の甲高い歓声と、拍手や指笛。
 

 ずっと、ずっと憧れていた場所で、ライブが出来る瞬間がもうすぐに迫ってきているのにもかかわらず、俺の気持ちは至って静かだった。


 緊張して、胃が痛むなんてことも無く。かといって、嬉しさや興奮で胸が高鳴ることもなかった。

 明弘も、いつも冷静な保でさえ。緊張しているようで、高揚しているようでもあるというのに。


 相も変わらず、俺の思考はどこかに飛んでいってしまっているようだった。



「――――いくぞ」



 ステージが暗くなり、裏方に戻ってきた、前の組のやつらとすれ違う。