「さんきゅ!今日、がんばろうな!」


「当たり前だろ」


「誰に言ってんだよ、任せとけって」



 ――なのに。

 二人の生き生きとした笑顔を見たら、がんばろう、とは思うのに。


 俺の頭の片隅に、ずっと、茜がいるんだ。

 茜が、女の子の制服を着て、俺に笑いかけて来てる。
 そんな、妄想の片鱗みたいなのと、普段どおりの口調の悪さで、創と並んで楽しそうにしゃべっていて、俺に気づきもしない男の茜。


 それがずっと交互にちらついていて、俺はどうにも集中できそうになかった。

 やる気が出てこない原因は、間違いなくこれで。