「――ごめん。俺のせいでせっかくの、舞台台無しにするところだった。
でも今日はがんばるから」
 
 明弘と保が、困ったように顔を見合わせていた。
 そして、ほぼ同時に俺のほうを向いて、言った。


「―――しょうがねぇな、景太は。
 今日寝坊したペナルティは、今度思いっきりおごらせるのでチャラにしてやっから。
 気、取り直して行こうな!
 っつーか、お前、その頬大丈夫か?結構、腫れてんぞ」


「お前、今日のリハさっき終わっちまったから、景太だけぶっつけ本番だからな!
 絶対トチんなよ」


 いつも通りの雰囲気に戻ってくれた二人に、俺は本当に感謝した。


 少なくとも、ここは俺が居るべき場所なんだから。
 
 しっかりしよう。
 がんばろう。