――おお、がんばろうな。


 ――当たり前だろ、メジャー、行くにきまってんじゃん!


 行こうな。

 ――。それは、保が高校を辞めてまで、追い続けていた夢で。
 保と同じ未来を見てきた、明弘の夢でもあって。

 でも、俺には、果たして夢なのだろうか。

 
 俺は、唯――。


 歌えれば、良くて。

 茜に近づけたなら、何でも良くて。

 メジャーなんかにいけなくても、唯この瞬間、歌を歌うことで、茜と同じ空気を共有することが出来たなら、それだけで良かったんだ。