結局、妹は先天性難聴で
しばらくして人工内耳の手術を受けたが
聞こえるようにはならなかった。

それでも、私の妹に対する可愛い可愛いは
相変わらずで、自分の言葉に見向きもしない
言葉を発することのない妹に
いつもなんだかんだおもちゃで遊んだり
絵本を読んだりしていた。

口の動きを見て言葉を理解する訓練を
受けていた妹が、ある日

「ねーね」

と言った気がした。

私はそれが嬉しくて飛び跳ねて喜び
家族みんなに教えた。

「ユリちゃんがねーねって言ったの!!」

そんな私を見てお母さんはよかったねと
微笑んだ。

それからは、今まで以上に
妹にくっつき、一緒に遊んだ。