そして小学生になり、可愛い可愛い妹を
毎日じーっと観察していた。

泣いたらオムツを見て
ミルクを飲ませ、抱っこにも慣れて
寝かしつけていた。

妹が可愛くてたまらなかった。
学校から帰ればベビーベッドの中で遊ぶ妹と
ずーっと遊んでいた。

妹が1歳になる前、突然お母さんと父親は
妹を連れて東京へ行った。
空港にお見送りに行ったとき祖母に聞いた。

「どこに行ったの?帰ってくる?」

母親の記憶が蘇り、泣きながら聞いた。
また置いていかれた。
そんな気持ちだった。

「大丈夫。
ユリちゃんがね、お耳が悪いみたいだから
お父さんのお姉ちゃんの病院で
よく診てもらいに行ったんだよ」

父親の姉は言語聴覚士をしている。
聴覚障害、言語障害のある人に
言葉を訓練する仕事だ。

「ユリちゃん、お耳治るかな」

「治るよ、きっと」

1週間ほどして、3人は帰ってきた。