「ひどいよ……。私の事好きだって言ったのに……」

「あぁ、好きだよ。世界中の女の中で最後の一番な」

“世界中の女の中で一番嫌い”だと要は若奈に躊躇(ためら)いなく言い放った。
好きな人からこんな扱いされたら立ち直れない。朋世もさすがに同情してしまう。

「……トモ、出て来いよ。いるんだろ?」

要が名を呼ぶ声に朋世は思わず反応する。
看板の隅から顔を覗けて彼と目と目が合った。
朋世は観念して三人の前に姿を見せた。

「ごめん。放課後に三人いたのが見えたから気になっちゃって……。大丈夫!アタシ、誰にも言わないし、もう帰るから!じゃ――…」

こんな時に自分がいたら事がややこしくなる。
朋世は引きつった笑顔で謝罪と口止め宣言して、早々にその場を去ろうと試みる。