若奈は自信無さそうに頷いた。
「俺は認めてない!」
風見が怒声をあげる。
若奈はビクッと肩を震わせ、要の陰に隠れた。
隠れて様子を窺っている朋世もさすがに驚いて目を見開いた。
「……そう熱くなんなよ。女は捨てても、自分が捨てられるのはそんなに許せないか?」
要はニヤッと嫌な笑みを浮かべ、風見に見せつけるかのように若奈の肩を抱く。
要が自分のことを庇ってくれているのが嬉しくて、若奈はうっとりと頬を染めた。
そして、彼女は自然と要の腕に自らの手を絡めようとする。
このたくましい腕で自分を守ってくれると信じて疑っていなかった。
「……気安く触るんじゃねーよ」
要は氷のような冷たい視線を若奈に向けた。