下駄箱で慌てて上履きを脱ぎローファーに履き替えて、あいが待っている昇降口に向かう。

「朋世〜、遅いぞ!」

呑気に手を振っているあいの肩をガシッと両手で掴み、目力たっぷりに彼女の瞳を見た。

「あい、ごめん!お母さんにお使い頼まれてるの忘れてた!クレープはまた今度!」

朋世は適当すぎる理由をあいに向かって真剣に告げる。
あまりの迫力にあいは「……お、お使い?」と少々引いている。
しかし、朋世にとってそんなことはどうでもいい話。

「埋め合わせるは絶対するから!」

朋世は早口で用件だけ告げると、あいを昇降口に取り残して先に出た三人を追いかけて行った。

「おばさん、そんなに怖い人だっけ……?」

何がなんだか分からないまま一人取り残されたあいは、クレープの後にお使いにいこうという選択肢が無かった彼女の行動に首を傾げるばかりだった。