放課後、朋世は以前借りていた本を図書室に返却して一人廊下を歩く。
あいとは昇降口で待ち合わせをしていた。
思いのほか返却者が多く、時間がかかってしまった。

廊下を足早に進んでいると、二階の窓から校門の前で待ち合わせしていたらしい若奈と要の姿が見えた。
そして、その光景を少し離れた場所で風見が見ている。
二人は風見の存在には気付いていないらしい。
とくに何事も無く校外へと出てしまった。

風見も彼らの後をつけるようにゆっくり歩いていく。
嫌な予感が朋世の心をざわつかせる。
風見は妙にプライドの高い男だ。
もし、あの噂が三年生にも広まっていたとしたら彼のプライドも粉々になる。



何をするか分からない――…



そう思うと、朋世はたまらず駆け足で廊下を走った。