彼のように言えない自分が悪に思えて仕方が無かった。
「俺はトモが思っているみたいなヒーローなんかじゃないから」
要は朋世が持っているカップを取ってソファーテーブルに戻し、突然彼女の身体をソファーに押し倒した。
「ちょっ、要君……!?」
戸惑いを隠せない朋世の事を要は上からまっすぐ見下ろす。
傷付いて、心が苦しくて仕方が無いくせに、甘いことを口にして綺麗な思い出にでもしようとする。
そんな事できもしないのに、綺麗でいようとする彼女が要は妙に腹立たしく思えた。
「彼氏、彼女がいるから何?好きとか愛してるとかアイツらに必要か?必要なのは満たされるだけの甘い言葉と刺激だけだろ……」
要はそう言って朋世の細い髪を梳かし、その柔らかい首筋に自らの唇を寄せる。