そうこうしているうちに、若奈と要は会計を済ませてカフェから出てきてしまう。
朋世は慌てて看板の陰に隠れた。


何でアタシが隠れなきゃなんないのよ……!


心がモヤモヤしながらも、二人の前に姿を見せる勇気はとても無かった。

「マカロン美味しかったね!要君!」

「そうだな」

幸せそうな若奈だが、店先の低い段差に気付かず「キャッ……」と声を上げてバランスを崩す。
要は彼女の身体をガッチリ支えて「大丈夫?」と気遣う。
二人の距離は数センチしか空いていなくて、若奈は恥ずかしそうに頬を染め「大丈夫……」と答えた。

知らない人からすれば仲良くデートをしている恋人同士にしか見えない。

「段差、まだあるから気を付けて」

「うん。ありがとう」

要が若奈の手をとって一段一段段差をおりていった。