「・・・この期に及んでなんですか」

「君、確か第一現代魔法術士だよね?
おまけに両親・祖父母が二代にわたって国の魔法術士のトップ・・・
それほどの家柄の持ち主を名家が放っておくわけないよな~?」

「・・・何が言いたいんですか」

半ばうんざりした様子の彼に構わず、淡々と喋り続ける父。

「つまり、君、今までにも見合い話があっただろう?
それとそのルックスだし、女には苦労してなさそうだな」

「・・・・・・・」

「それなのに何故今まで結婚しなかったんだ?
名家のご息女は美人も多いだろうに」

「貴方には関係ありません」

即答するフィル。一瞬黙る父。
・・・う・・・益々もって嫌な予感・・・!絶対何か企んでる・・・ッ!

「・・・そろそろ見合いにも飽きただろう?」

「!」

その素直な反応に父は続けて語る。

「少しは興味あるだろう?
家柄・容姿共に抜群の自分との見合い当日に姿を晦ますような女・・・
今まで君の周りにいなかったんじゃない?」

や・・・やられた!!
おかしいとは思っていた。あたしの言動をよく知っている父なら彼らが来るまで話さないハズである。
何処までもクサレ外道親父め・・・。

こうなったら最後の頼みの綱は彼だけである。
きっぱりはっきり断って下さい!是非ッッ!!

「・・・分かりました。今回は貴方に免じて彼女に会いに行きます」

かくて望みは絶たれたのであった・・・


二人して見事父にはめられたのである…