「じっ・・・冗談じゃないわよっ!あたしはいやよっ!断ってよ!」

あたしの拒絶の言葉にきょとんとして顔を見合わせる父と母。
そして次の瞬間不満げな雰囲気モロ漂わせてあたしに向き直るや否や

「えぇぇ~っ!勿体無いじゃない~っ!ねぇカイル?」

「そうだぞ、ソフィアとソナはアンソルヴァーナ国の魔法術士長をしているエリートだぞ?ソナの祖父母も先代の魔法術士だったそうだしな。こんないいお家からの申し込みなんてこの先ないぞ~?」

「そうよルナっ!
将来は約束されるようなものよっ!それにお父さんの友達の息子ですものっ!
きっとルナを幸せにして下さるわ!!」

「それにあの家族は美形揃いだぞ♪」

目を輝かせる母、超絶満面の笑みを浮かべる父。
・・・こっ・・・この夫婦わ・・・!

「うるさ――いッ!!
嫌なものは嫌よッ!!あたしは好きになった人と結婚したいの!!」

「あら、誰か好きな人でもいるの?」

すかさず突っ込んでくる母。
うぅぅっ・・・痛いところをっ・・・!

「いっ・・・今はいない・・・けど・・・・・」

「だったらこれから会う彼を好きになればいいじゃないか♪」

すかさず父も突っ込んでくる。
うぅ・・・容赦ない・・・夫婦連係プレイかよ・・・

ダ・・・ダメだ・・

もはやこの両親には何を言っても無駄だ・・・!

「さっ♪フィルくんのためにおめかししましょ~ねぇ♪」

あたしは決意した。

「こんな家出てってやる―――――ッ!!」


かくて逃亡生活のスタートである。